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CD(Clostridium difficile)簡易検査について

CDとはClostridium difficileという菌名の略称です。

ボツリヌス菌、破傷風菌などの仲間で、嫌気環境(酸素が無い環境でしか生息出来ない)体内・消化器等で増殖します。

CD抗原・トキシンが陽性の場合は、臨床的に偽膜性腸炎という大腸感染症の原因となります。この菌は長期間抗生物質を使用している場合に菌交代現象(生体において正常菌叢の減少などにより通常では存在しないあるいは少数しか存在しない菌が異常に増殖を起こし、正常菌叢が乱れる現象)として生えてくる特徴があります。

C. difficileが増殖すると、特有の毒素トキシンを分泌します。これに免疫系が応答すると大腸粘膜に偽膜と呼ばれる粘膜がむくんだような病変が形成されます。臨床症状は下痢、血便などを呈します。

長期間抗生物質を投与した場合はこのC.difficileの増殖を警戒して、下痢などの症状がなくても便中のC.difficile由来トキシンを調べます。これを通称として「CD抗原」「CDテスト」と呼ぶ事があります。

平成27年1月より院内検査として簡易検査を開始しました。検査所用時間は20分と短く、「トキシン陽性」と判断された場合はノロウイルス陽性者同様速やかに個室隔離して治療を開始します。便が普通便に戻ってから1週間又は治療薬投与終了(基本10日間)時点で普通便であれば隔離解除します。この菌は接触感染予防策が必要です。対応が不十分の場合は院内感染拡大の危険性がありますので注意が必要です。

      

この簡易検査キットは確定診断には有用ですが、遺伝子検査と比較すると感度も低く偽陰性の可能性があります。CD抗原陽性・トキシンが陰性の場合でも治療の対象とします。しかし、消化器症状が改善してもしばらくはC. difficile保菌状態ですので治療後の判定検査としては使用出来ません。

以上より、CD抗原(+)で下痢、血便を呈していれば「偽膜性腸炎」で、臨床症状がない場合は「C. difficile保菌状態」です。偽膜性腸炎と診断されたら内服等の治療が必要です。

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