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認知症 ~安心して暮らせる街づくり~

はじめに

皆さんは認知症についてどんなお考えをお持ちですか?

  • 認知症には絶対になりたくない
  • 認知症は治らない病気だ
  • 認知症になってしまったら私はもうだめだ
  • 認知症になると今までの生活ができない
  • 認知症の方への関わり方がわからない

上記のように認知症に関して多くの方がネガティブな考えを持っている印象です。

しかしながら、認知症と診断されたからといいすぐに何もできなくなるわけではありません。

今回は認知症について簡単に解説し、認知症になっても自分らしく安心して生活を送る為の方法について説明します。


認知症とは

認知症とは、広辞苑によると「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が、慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」と定義されています。

認知症は4つに分類されます。アルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症です。その中で一番多いのがアルツハイマー型認知症です。アルツハイマー型認知症とは、老人斑(アミロイドβ蛋白)や神経原線維変化(微小管関連蛋白タウ)が脳内に留まる事で相互作用により神経細胞が徐々に破壊され、脳が徐々に萎縮してしまう病気です。症状は、中核症状と周辺症状に分かれます。中核症状は、記憶障害、判断力の低下、見当識障害(場所・時間・人がわからなくなる)、遂行機能障害が出現します。周辺症状(BPSD)は、せん妄、幻覚、徘徊、暴言・暴力等があります。

認知症の方との関わりの中で「この人は認知症だから仕方ない」と思ってしまう方が多いと思われます。周辺症状は認知症の症状として出現します。その為、脳の病気と思われがちです。しかしながら認知症の方は脳の病気だけでなく「その人の性格・行動パターン」「周囲の人との関わり」「今までの生活史・最近の出来事」「体の状態(視力低下・難聴など)」と様々な要素が絡み合って起きている状態です。つまり、その人の今までの人生史が脳の障害と絡み合って症状が出ています。

認知症の症状には徘徊といわれる症状が有ります。認知症の方で徘徊している方を見た時、どのように考えられますか? 上記で述べたように「この人は認知症だから仕方がない」とお考えになる方は少なくないと思います。しかし私の体験例ですが、この方は「トイレに行きたい」「しかし、場所がわからない」「地図はあるけど見方が分からない」「人に聞くのが恥ずかしい」これらの要素が絡み合い徘徊といわれる症状が出ていました。つまり、認知症だから徘徊しているという考え方ではその人の気持ちを汲み取る事はできません。認知症の方は脳の病気や症状をみる以前にその方自身を見る必要があります。

図1は、認知症の進行に伴う認知機能症状の低下(青)に対し自立・自己決定が可能な時期を表しています。図2では、認知機能低下は周りの方(家族・親戚・友人・サービス)支援により認知機能の低下を緩和できることを表しています。つまり、認知症になると脳の萎縮に伴い認知機能は低下していきますが、自分の意思を相手に伝えることが可能であり、また、周囲の支援により認知機能の低下を遅らせ、より長く自分の意思を相手に伝えることが可能です。


エンディングノート

上記のように認知症になったからと言ってすぐに何もできなくなるわけではありません。ですが慢性的に進行する病気です。薬物治療等により認知症の進行を遅らせることは可能ですが徐々に進行します。では、認知症になってもより長く安心して地域で生活するにはどのようにすると良いのでしょうか?

まずは支援される側として、ご自身の事を相手に知って頂く必要があります。その手段として「エンディングノート」です。エンディングノートとはその人の好きなもの・趣味・特技や生活歴(学歴・職歴)・人生史(思い出)だけでなく、財産相続の事、医療介護の事、家族への思い等を記載します。医療・介護では病気になって治療を受ける際、自宅療養を希望するのか、入院するのか、又延命治療についてなどを記載します。ご自身の事を記載し、家族や身の回りの方と共有することで、もし認知症と診断され、進行が進み自己判断力が難しくなってしまった場合においてもご自身の望む医療・介護、また生活を送ることが可能となります。


おわりに

認知症は進行性の病気です。ですが認知症と診断されたからといって生活が送れなくなるわけではありません。エンディングノートを活用するなど今一度ご自身やご家族の方と自己について見つめ直し、自分らしく安心して生活が送れるよう応援すると同時に全力でサポートしていきます。


認知症予防として、我々が院内の認知症の方のリハビリテーションを行う上で脳活性化リハビリを活用しています。

脳活性化リハビリとは、①快刺激②ほめる③コミュニケーション④生きがい⑤成功体験を通して楽しく前向きに暮らせるように支援することです。上記の図3によると微笑みは最後まで残る機能です。微笑みを通し明るく楽しく生活を送ることが認知症の進行を遅らせるといわれています。皆さんも自分らしい生活を通して楽しく日々を送っていただけると良いと思います。

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